クマ学習3年目

 羅臼町内の中学生を対象に今年もクマ学習が始まった。今日はその第一回目。
 クマ学習が始まって3年目になる。この学習は中学生と高校生に対して一年おきに実施することになっているから、今年の中学三年生は、クマ学習の第二ステージということになる。そのため、昨年まで実施していた「入門編」より一歩進んだ内容となった。
 具体的には、知床半島で実際に行われている電波発信器を使ったクマの行動調査=テレメトリ-を体験するものだ。あらかじめ藪の中に発信器を装着したぬいぐるみを隠しておき、受信機でその場所を捜していくものだが、生徒たちにはそれがぬいぐるみだ、とは伝えていない。受信機から響いてくる電子音が、本物のクマから発せられる電波だと信じ込んで、皆、かなり緊張して捜索に臨んでいた。
 緊張はしたことだろうが、自分たちの住んでいる地域の野生のクマが、どのようにして研究されているかを理解するには最適の効果があったのではないだろうか。このようにして、野生のヒグマと共存できる住民が育っていってほしい、と思う。

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小学校「デビュー」

 「自然環境専門指導員」というイカメシイ肩書きが付くようになって、今日はその初仕事であった。町内の小学校の授業の手伝いに出かけて。昨年度に引き続き高等学校の授業は、いまだに行っているが、小学校への「デビュー」の日となったのである。もちろん自然観察の授業。校地の中だけの限られた範囲だが、カツラの幼木があったりミミコウモリがあったりとよく見ると色々な植物が見られる。小学生相手だからいたずらに種類だけを増やしても意味がない。自然を観察する基本的な姿勢と感動する心が伝わればいい。
 3時間目に3年生、4時間目に4年生を対象に行った。小学生は、ストレートに自分の考えをぶつけてくるので、接してみると面白い。また、自分の興味や関心を隠さずに表現する。面白くなければすぐに別の方向に関心を向ける。義理で話を聞く、などということは絶対にない。その意味では、彼らへの授業は、教師としての力量が掛け値なしに試される。厳しいが、面白い。ただし体力勝負だ、と思った。
 それにしても、感動したことや感心したことを素直に表現してくる児童たちは、本当にかわいらしかった。もた、是非行ってみたい、と思った。

 同時にちょっと気になることもあった。それは、彼らにとって初めて知る虫や花の名前を伝えると、必ず次ぎに「それは毒じゃない?」との質問が返ってくることだ。例えば、

「これはナミテントウだよ」
「ふーん、これ毒ないの?」

「この花はツボスミレっていうんだよ」
「へええ。毒じゃないの?」という具合だ。

 彼らにとって、自然界は毒虫とウイルスとバクテリアに満ちた危険で怖い所、というイメージが先行している。刷り込まれている、とも言えるだろうか。
 これは、もちろん彼らの責任ではない。周りの大人たちの責任である。自然と人間は、現代社会ではこれほどまでに乖離(かいり)させられているのだろうか。このことを考えると、自分の非力さが恨めしく思われた。

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虚構への加速

 ANA837便は寒冷前線を飛び越えてほぼ定時に到着し、この旅も終わってしまった。一つの旅の終わりは、次の旅への想いを温め始めとなる。また、旅に出よう、と考えつつ空港前に駐めていた車に乗り込んだ。

旅の話題から離れ、何か楽しいことを書こう、と考えたのだが、一年前のこの日の日記にこんなことを書いていた自分を発見し、そのときの怒りがいまだにくすぶっている自分の心を覗いてしまったので、それを載せることにした。


<昨年同日の日記から>
   いつから、この国の若者は人生を見せることばかりを意識するようになったのだろう。
 
   新しい制服を決める職員会議は異常な盛り上がりを見せ、今年から新しく始まる中高一貫連携型入試の実  施要領に関わる議題を軽くはじき飛ばしてしまった。誰が考え  ても制服のネクタイを結ぶ方式が良いか、   襟元に掛ける方式が良いかを論議するより、来年入学してくる中学生に課す試験をどのようにしてあげること   で負担が減るか、とか緊張をほぐすか、といった議論が優先するのではないのかなあ。

   この、異常な集団に属していること自体が恥ずかしい。忘年会を欠席して本当によ  かった。

   この教師たちの異常な反応は、そのまま現代の若い世代の価値観を反映しているのかもしれない。つまり、  いつも「見られている」ということを意識して自分を演じて  いる。

 
 そして、それから一年。
 「教員評価制度」が導入された。学校の現場は、教師も生徒も「見た目」ばかりを気にして中身を考えようとしない、虚像への傾斜をますます強めている。

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